闇展KIK 展示のウラ話

◆闇展KIK ご来場ありがとうございました。

 先日、pictSQUARE内イベント【第三回 闇系展示即売会†Kunst ist Krank†】が開催され、無事閉幕いたしました。

 これまでにいろいろな創作をしていたShock-Doにとって、今回は「闇」がテーマの作品が応募条件だったため「病み」をモチーフとした作品の制作となりました。

 正直、結構攻めました。

 制作していく中で当時の苦痛だとか、悲しさだとか割としんどい感情と向き合わないと形にできないので、自分の感情のアウトラインを理解する作業がめちゃくちゃに大変でした。

 前がきで「膿出し」と表現しましたが、まさにその通りで、作るどころか「くっそつらい」という感情で固まってしまう本末転倒なこともありました。

 でもそのおかげか、自分の脳内をかなり忠実にアウトプットできたと思いますし、ご覧くださった方々から予想以上の書き込みを頂きました。

 本当にありがとうございました。


◆作品の裏話

 展示作品にはタイトルのみ掲載して「どういう思いで作りました」というのをあえて書きませんでした。

 作品群を見て各々が感じることは十人十色でしょうし、いろんな解釈があっていいと思ったからです。サークル名も伏字でしたし。


 個人的に作品制作の裏側(芝居の舞台裏とか)に迫ったドキュメンタリーなどが好きなのですが、そんな感じで各作品の制作に至った裏話をポチポチしていきたいと思います。

 新しい解釈などでまた見ていただけますと幸いです。

【貧血】

 ラドールとレジンで作りました。まつ毛はつけまつげです。

 貧血の時って視界が本当に灰色に見えるんですよね。頭がフラフラしていると視界もグラグラします。そんな朧気なボヤボヤした瞳を作りたくて多層的にレジンを重ねました。


【顕在化】

 ――見えないだけで、私の腕にも「生きる苦しさ」からできた傷を、たくさん走らせているのかもしれない。

 リスカを彷彿とさせる【顕在化】という作品については何度も展示するか否かを悩みました。

 マニキュアで腕に血痕の十字架を描いたVerも作っていたのですが、作品に込めた思いにより近い方を採用しました。

 テーマは【生きる痛み】です。

 傷は縫合されているのに、ジクジクと血が何故か滲んでいる。

 生きていても、痛みだけが続いている。

 ただ見える傷が無いだけで、自分をたくさん傷つけてきたなという自戒のような作品です。

【眩暈】

 【貧血】に続いて「自分の目に映る視界」を造形した作品です。風景をぐにゃぐにゃに曲げるのではなく、グルグル渦巻をさらに着色でぐちゃぐちゃに塗った物を目の上に乗せるという形で「体の内部がおかしいんだ」という感覚を表現する方向にしました。

 あとすっぴんです。今見たら本当に目回りの血色悪すぎますね。寝ます。

【修正パッチ】

 自分がみんなと同じだったら、もう少し生きやすかったかもしれない。

 みんなにはあるシステムが自分には無い。インストールできれば、修正できれば。

 そんな感覚を描きました。

 「もしそれが叶ったらロボットじゃない?」という意見もあるとは思いますが、ロボットであれば、もっと生きやすいのかもしれないというのが私の答えです。

【美しき】

 近所の道路によくタマムシが落ちてるんです。近くに自然が多いので、その影響か虫はかなり多いです。

 踏まれて死んでいたり、寿命かそのままの姿で転がっていたり。

 でも破片になってもなお、死骸も生来のままの美しい輝きをもったまま地面に転がっているんです。

 タマムシといえば「玉虫厨子」が浮かびました。死んでもなお美しく、その体が工芸品の装飾に使われることが、何ともうらやましいと思ったのです。人間ではあまりできないことですから。(遺髪や遺骨のアクセサリーは収納式なので…)

 この作品の本当のタイトルは【美しき死】です。



【だめな日】

 だめな日ってこんな感じです。何か重い物が体の中を占めていて視界もずんと重い。突っ伏したままで時間が過ぎるのを、この重い物がいなくなるのを待っている。

 虚無な一日を描いてみたら、なんともゆるい絵になってしまいました。

【疑心暗鬼】

 最初タイトルを【視線】にする予定でした。

 たまたま調子が悪い時に外に出なければならない時があって、フラフラしながら町を歩いていました。

 たくさん人がいる中でも、その視線がとても怖かったのを覚えています。もちろん誰が見ているという訳ではないのですが、誰かの視界に入ることが本当に怖かったのです。

 「この人、おかしい」そう思われるのが怖かったのかもしれません。

 自分でも訳の分からない恐怖に挙動不審になっていた出来事を、多眼で表しました。


【ゆるやかな自●】

 サークル名にもした作品です。きっかけは、入浴時でした。

「はあ、消えたい」と思った矢先に、湯船につかっている自分の右手を見て、入浴剤のようにシュワシュワと溶けて消えていけたら誰にも悟られず、消えることができるなあ――とぼんやり思ったのがきっかけでした。

【夢】

 ある日見た夢です。

 よくわからない家の中で、顔の半分に穴のある人のような何かに助けてもらう夢でした。

 不気味だったのですが、不思議と怖い感じはしなかったのが印象に残っていました。

 夢のぼんやりとしたようなハッキリとしたような曖昧な感覚を表現するためにフィルターとモノクロの動画とどこか古ぼけたラジオのような音源と合わせました。

【通う】

 死ぬほどしんどい時の「通う道」はなんだか遠近法がめちゃくちゃというか、すべてが覆いかぶさってくるくらい大きく感じました。おまけに色あせて見える。

 あと視線が不思議と上を向くんです。どうやったらこの人生を終えられるだろう、とぼんやり考えながら見上げていました。でも結局そんな勇気もなくて目的地に着く。

 そんな毎日の繰り返しを思い出して描きました。


◆最後に

 ありがたいことに、体調は良くなり当時の苦しさをこうして作品として昇華できたことが幸せなことだと思えるようになりました。

 他にも作品にしようとしていた候補はいくつかあったのですが、想像した形にならなかったり、材料やらの問題で断念したりしたものも多くありました。

 それらも機会があればまた制作していきたいと思っています。

 最後になりましたが、闇展KIKを主催されたぐるぐるめー様、イベントに参加されたサークル参加者の皆様、ご来場いただいた参加者の皆様、誠にありがとうございました。

Shock-Do a.k.a ARAZU

人にあらず、この世にあらず。 日常の隣の【非日常】に憧れた人へ。

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